「エアーピット」カテゴリーの記事一覧
真空ピンセットを使用したシャフト梱包作業の改善
切削加工メーカーにおける、微細部品(シャフト)梱包の作業改善事例です。
課題 : シャフト梱包の作業性が悪く、出荷台数が上がりません。
ワークであるシャフトを50本ずつ袋詰めにして出荷していましたが、客先から要望があり、専用トレイに1本ずつ収納して出荷するようになりました。そのため、シャフトを一本ずつトレイに納める作業が必要です。
先端に滑り止めを施したピンセットを使用して作業していますが、それでも細い形状のシャフトは大変つかみづらく、慣れた作業者でも所定の位置に入れるのは難しい作業です。シャフトの中央付近をつままないとうまくトレイに収められません。
また、シャフトをつかんで移送する途中に落下させてしまうこともしばしばで、ワークのトレイ外の机上に転がったりしますと、落としたシャフトをピンセットでつかむ作業はさらにやりにくく、積み重なると作業時間の大きなロスとなっていました。
梱包仕様の変更(袋詰め→専用トレイ)以降、以前に比較して想定以上に梱包の作業工数が膨らみ、とても困っていました。
解決! 真空ピンセットの採用で作業性が向上、生産台数もアップしました。
真空ピンセットの採用で、シャフトのハンドリングが簡単かつ確実に行えるようになりました。
「つかむ/はなす」の操作は、真空ピンセットのシャッターボタンを押したり離したりするだけなので、つかも時も、専用トレイに納める時も、とても簡単に、正確に作業できます。ワークが細い円柱状のであるシャフトであるため、特に難しかった「つかむ」作業については、先端アタッチメントには吸着口が楕円型になっているタイプを採用することで、より確実に吸着できるようになりました。
以前のピンセットのように、つかむ力加減や作業者の疲労といった要素もなくなった(ボタンの押し/離しのみ)ため、シャフトを途中で落下させてしまうこともなくなりました。
結果、滑り止め付きピンセットによる作業時よりも格段に作業性が向上、日々の出荷台数も計画通り達成できるようになりました。
真空ピンセット「エアーピット」(N/O タイプ)の特徴
- ワークはシャッターボタンを押すと吸着、離すと落下します( 吸着、落下が逆仕様の N/O タイプもあります)。
- 風量調節機能により、スムーズな吸着・離脱をコントロールできます。
- 標準先端アタッチメントは材質3種類・穴径17種類をラインナップ。球状・棒状・平面板 など、あらゆる微小部品の吸着に効率よく対応できます。
応用のポイント:先端アタッチメントの選び方
ワークの吸着/離脱の作業性や確実性には、選択する先端アタッチメントの穴径・材質・形状が大きく影響します。特に、重量がほとんど無いような超軽量微小部品の取り扱いでは、離脱がスムーズにできない場合があります。このような時には、注射針タイプの極細穴径アタッチメントを選択し、風量調節ネジを大幅に緩めるか取り外してご利用いただくと、大きく改善します。
真空ピンセットを使用したミラー組込み作業の歩留まり改善
玩具メーカーの組み立て工程における、ミラー取付け作業の改善事例です。
課題: ピンセットでミラーをつかみ損ない、欠けさせてしまうミスが頻発!
玩具部品の組み立て工程で、ピンセットでワークA(ミラー)の外周をつかんで、ワークBの所定位置に取付ける作業を行っています。
使用するピンセットの先端は、ミラーをつかみ易いように工夫して加工してはあるものの、それでもつかみ損ないが、かなり頻繁に発生してしまいます。
つかみ損なうとミラーのエッジが欠けしまい、部品として使用できなくなり、ロスになってしまいます。
ピンセットのつかみ損ねで欠けてしまったミラーの、エッジ部分の欠けが大きければ発見しやすく、ワークBへの取付け前に気付いて交換できます。
しかし小さな欠けだと、作業者が注意はしていても見落としてしまうことが多く、欠けのあるミラーをそのまま取付けてしまい、後の検査工程で不良品として発見されることもしばしばです。
このピンセットでワークを破損してしまうロスに加えて、さらにミラーのエッジの破片が落下することによる品質問題も発生しており、早急な改善が必要でした。
解決! 真空ピンセットの採用で、ミラーの欠けがなくなりました。
ピンセットをエアーで吸着する真空ピンセットに変更しました。先端のアタッチメントには、表面積の大きいワークの吸着に便利なヘラ型を採用しました。
ヘラ型の先端アタッチメントをミラーの鏡面に近づけるだけでミラーをやさしく吸着・ハンドリングできるので、エッジの欠けを心配することなく作業できます。
後はワークBの取付け位置の上部でシャッターボタンを押してミラーをそっとリリースするだけです。
ミラーは自重落下で、ワークBの所定の位置に、正確に取付けることができます。 「ピンセットで挟む」という動作そのものがなくなったため、ミラーつかみ損ないによる破損と交換ロスが無くなりました。
また、欠けたミラーの破片が落下することも無くなったため、製品の品質も安定し、歩留まりが向上しました。
真空ピンセット「エアーピット」(N/O タイプ)の特徴
- 簡単・快適なペン先操作、ワークを指で触れることなくキャッチ&リリースができます。
- ワークは、シャッターボタンを押さない状態で吸着、押すと落下します(吸着と落下が逆仕様のPタイプもあります)。
- 先端部の屈折角度は、0°~40°と40°~90°の2種類があり、お好みのタイプを選択できます。
- 先端のアタッチメントは4種類(標準・注射針型・導電性ゴムパット型・ヘラ型)で、用途に応じてご使用下さい。
応用のポイント:クリーンでコンパクトな真空ポンプ(DAP-12)がお勧めです。
ミラック光学製の真空ピンセット「エアーピット」は、吸着用のポンプとして、工場内既設の配管エアーや、市販の真空ポンプでもご使用いただけます。
お客様がそのような設備を既存でお持ちでない場合は、弊社では、ゴムの薄膜の往復運動を利用したダイヤフラム式真空ポンプ「DAP-12」をお勧めしております。
真空ポンプ「DAP-12」は、油を使用しないため、排気もクリーンでメンテナンスも簡単です。また、持ち運びにも便利なコンパクトサイズでありながら、配管ジョイント(JT-5)を接続することで、真空ポンプ1台で真空ピンセット「エアーピット」5本の同時利用が可能です。
真空ポンプ(DAP-12)仕様抜粋
- 最大寸法:93 (W) × 163 (L) × 100.6 (H)
- 質量:1.9 kg
- 実行排気速度:12 L/min (50Hz) ,14 L/min (60Hz)
- 到達圧力:24.0×103 Pa
- 使用電動機:単相・100V・10W・4pコンデンサ運転
- 全負荷電流:0.5 A
エアーピット(真空ピンセット)を使った真珠の連組作業
真珠の養殖及び加工販売会社におけるネックレスの製造工程での作業改善事例です。
課題 :ピンセットによる慎重な作業。とても時間がかかり、神経を使います。
ネックレスの製造で、真珠に絹糸を通すために、大きさ・形・色・光沢などを合わせながら並べています。連組は、真珠の並び方(調和)を見ながら、並び替えを何度も繰り返して整えていくため、とても神経を使う作業です。
使用している専用の珠ピンセットは、球体をつかみやすいよう先端部分が工夫され、真珠にキズが付きにくくするコーティングがされてはいるものの、真珠をつかむ位地や強さなどはすべて作業者の手(握力)によるコントロールです。常に細心の注意を払った慎重な作業が求められるため、どうしても時間がかかり、また作業者の疲労も早く、困っています。
解決! 真空ピンセットの採用で慎重な作業もより早く、簡単に!
ペンを持つ要領でエアーピット(真空ピンセット)を手に持ち、先端を真珠に近づけて人差し指でシャッターボタンを押すと吸着(つかむ)、離すと離脱(放す)できます。握力を使わず、真珠を傷つけずに素早くハンドリングできます。
手が疲れないだけでなく、作業者が「真珠を傷つけないように、落とさないように」と常に細心の注意を払い続ける心理的な負担も軽減されたため、長時間の作業でもより楽に、快適に行えるようになりました。
真珠の大きさが変わっても、先端のアタッチメントを最適のサイズに交換することで対応できます。吸引力の強弱も、風量調整ネジでコントロールできますので、重さのある大粒の真珠でも問題ありません。
エアーピット(P type)の特徴
- ペン先操作で吸着 ・ 搬送できます。充実したアタッチメントのラインナップで、快適なハンドリングが実現できます。
- ボタンを押すとワークを吸着し、離すと落下します。 逆に、ボタンを押すと落下する N/O タイプもあります。
- 先端アタッチメントには、標準型 ・ 注射針型 ・ ゴムパット型 ・ ヘラ型があり、使用用途に応じて交換可能です。
- エアー供給源は、市販の真空ポンプや工場内の配管エアーです。弊社特選の真空ポンプ(DAP-12S)もお勧めです。
応用のポイント:エアーピットの意外な使い方
「エアーピット」は、真空ピンセットとしての用途以外にも、ゴミやホコリなど微小な異物を吸引・除去する清掃クリーナーとしても使用できます。また、吐き出しにすればエアーガンや部品の冷却用としての応用も可能です。
尚、エアーピットを微小異物の清掃クリーナーとしてご使用の場合は、《集塵・液体ストッカー(AP-DLS)》をご利用ください。ゴミやホコリがポンプ等の真空源に達する前に、それらを捕集し真空源を保護します。