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「回転系ステージ」カテゴリーの記事一覧

XY/回転ステージ(複合ステージ)を使用した接着剤塗布治具の改善

2013年06月24日

玩具メーカーの組み立て工程で使用している接着剤塗布治具の改善事例です。

課題: 接着剤の塗布作業は効率が悪く生産台数が上がりません。

ワーク2種の接着作業とワーク置台の位置決め、どちらも非効率でした。

十字型のワークAの4か所の先端部分にワークBを接着する作業です。ワークAの先端部分4ヶ所の穴に、接着剤を塗布してから、ワークBを挿入します。

接着作業は、ワーク置台の目印線交点上にワークAの接着位置を合わせて塗布します。1ヶ所の塗布が終わると、ワークAの向きを90°変えて、再度接着位置を合わせて塗布します。
ひとつのワークAに対して、それを4回繰り返すので、とても効率が悪い状況です。

またワーク置台は、上面にある目印線の交点上に接着剤ディスペンサーの針が来るよう、あらかじめ位置決めしてあります。 接着剤ディスペンサーや、ワークAの大きさ及び形状が変わると、それに合わせてワーク置台の位置決めのやり直しが必要です。

ワーク置台は、4本のボルトで位置決め後に固定しますが、微小な位置修正には不向きです。 この組み立て工程では、接着剤塗布の作業とワーク置台の位置出しの、どちらも作業性が悪く困っています。

解決! XY/回転ステージ(複合ステージ)を使用し、接着剤塗布とワーク置台の位置決め作業を同時に効率化!

XY/回転ステージ(複合ステージ)の採用で、接着作業、ワーク置台の位置決め作業を、同時に効率化!

ワーク置台をXY/回転ステージに置き換えました。XY/回転ステージは、直交する直線ステージ(X軸とY軸)と回転ステージの複合ステージです。

接着剤塗布の作業は、まずワークAをステージ上面にセットします。次に、ディスペンサーの針の下部にワークAの塗布部が来るよう、ステージ面を回転させ接着剤を塗布します。 1ヶ所目の接着剤塗布後、回転つまみを90°ずつ 回して残りの3ヶ所を塗布します。

以前のように、1ヶ所ごとに面倒な位置合わせをする必要がありませんので、作業効率がアップし、生産台数も向上しました。また、接着剤ディスペンサーやワークの大きさ・形状が変わっても、XY軸のハンドル操作だけで塗布位置を変更できるため、簡単に対応できます。

塗布位置変更後には、ステージのストッパーを締めることで、決めたXY軸の位置をしっかりと固定できます。

薄型XY回転ステージ (XYR-90A) の特徴

従来品の組合せより30% 近く薄型(高さ50mm)でコンパクトな、一体型複合機能ステージです。

  • ステージ面 : φ90mm
  • 移動量 : (XY方向)±35mm (回転方向) 360°
  • 自重 : 0.88 kg
  • ハンドル一回転の移動量 : 4.2mm
  • 耐荷重 : 34.3N (3.5kgf)
  • ステージ本体:アルミ合金製(スケルトンステージ除く、XYステージ 他 全ステージ共通)
  • 表面処理 : 梨地黒アルマイト
応用のポイント:XY/回転ステージ(複合ステージ)の応用例 「コンパクトな顕微鏡システム」

このXY/回転の複合ステージは、工夫次第で、いろいろな用途のコンパクトな作業治具を作成することができます。
例えば、回転ステージ面にステージ板を設置し、顕微鏡と組み合わせれば、非常にコンパクトな顕微鏡システムができ上がります。

XY/回転ステージ(複合ステージ)の応用例。使い勝手の良い顕微鏡システムを低コスト、省スペースで実現。

ステージ板は、表面と裏面が白と黒に色分けされており、通常は白面側(色のついた物が見やすい)を使用します。黒面側は、白っぽい物や透明な物を観察する時に使用します。
試料の色などの特徴に応じて使い分けると、観察しやすくなります。

ステージ板の仕様

  • 素材: アクリル樹脂
  • 寸法: 直径 80mm、厚さ 6mm (白 3mm + 黒 3mm 貼り合せ)

回転ステージとX軸ステージを使用した先端形状検査治具

2013年05月13日

金属加工メーカーでの切削品の外観検査治具を、X軸ステージと回転ステージを組み合わせることで改善した事例です。

課題: ワークを都度、手で抜き差しし反転、穴の両側を検査。片側の検査漏れや抜き差しによるワークの変形が問題です。

切削品の先端の穴形状をマイクロスコープで検査

シャフトの先端にある穴形状の検査をしています。検査はマイクロスコープの画像を観察する方法で行います。マイクロスコープの位置は、マイクロスコープの下にあるX軸ステージで合わせています。

ひとつのワークについて、穴の入口と出口の2ヶ所を検査するため、その都度ワークを外して180°反転させる必要があります。このワークの抜き差しの作業ミス(作業抜け)が問題になっています。
長時間作業していると、作業者が「これからワークのどちら側を検査するのか? また、どちら側を検査し終えたのか?」が分からなくなってしまい、穴の片側の検査が漏れてしまうことがあるのです。

また、作業者が手で抜き差しする作業は、面倒で時間もかかります。その上、「その抜き差しの作業によってワークが変形してしまう」という品質面の問題もあり、最終的な部品品質の低下も課題となっていました。

解決! 回転ステージの採用で検査漏れが無くなり、作業性も改善。品質の問題も解消できました。

回転ステージとX軸ステージ上のマイクロスコープを180°ずつ回転させ、穴の両側を検査。

 

マイクロスコープを据付けたX軸ステージの下に台座を組み、回転ステージに取り付けました。

回転ステージ上のマイクロスコープが、ワークの外周を180°スムーズに回転、穴の両側を簡単に検査できます。ワークを抜き差しして向きを反転させる作業は不要になりました。
回転角度(180°)は、回転ステージのストッパーで予め固定されているので、作業者は終端までステージを回転させるだけでOK。回転角度を気にすることなく、確実な位置で検査ができます。

穴の片側の検査漏れの問題は、回転ステージ上のマイクロスコープの位置(手前か、奥か)によって検査している側面が一目瞭然になったことと、ワークの両側を続けざまに検査できるようになったことで、発生しなくなりました。

また、ワークを反転させるために抜き差しする必要がなくなった分、抜き差し作業でワークが変形してしまう品質の問題も減少しました。さらに、ワークを抜き差しする手間と時間より、マイクロスコープを回転ステージで180°反転させる時間の方が短く簡単なため、作業時間も短縮でき、生産効率も向上させることができました。

回転ステージ (KTS-60) の特徴

  • 手動でしっとりなめらかに360°回転するステージです。耐荷重は 68.6N(7kgf) です。
  • ステージ面 : φ60mm (ステージ面サイズ φ40mm の KTS-40 もあります。)
  • 偏芯量 : 0.05mm
  • 材質 : アルミ合金
  • 表面処理 : 梨地黒アルマイト
  • 自重 : 0.2 kg
  • 付属品 : M4 (8mm) 六角穴付きボルト 4本
応用のポイント:センサー・カメラ・ワーク等の向きを変えたい時に最適です。

回転ステージ固定側に目盛(最小読取り1°)が刻んであるので、おおまかな回転角度の確認が可能です。( ステージ面サイズφ40mmのKTS-40 は最小読取り2°)
また、使用用途に応じて標準装備のストッパーをご利用ください。回転ステージ回転部をお好みの位置で固定することができます。

あおり旋回ステージを使った移動動作確認治具

2012年12月28日

玩具の製造メーカーで使用している動作確認治具の改善事例です。

課題 :検査中にワークの向きを変えなければならず、作業性が悪く困っています。

あおり治具を使った検査。一方向ずつしか検査できないため、いちいちワークを取り外し、向きを変えて取り付け直す必要があった。

赤の部品が、緑の部品の十字溝をスムーズに移動するか検査しています。

現状のあおり治具では、1方向(手前と奥)にしか動かせないため、1回の装着では全ての確認ができず、非常に作業性が悪く困っています。

具体的には、「まず最初の1方向の確認し、その後、緑の部品を治具から一旦外して、90°向きを変え治具に再装着し、残りの方向を検査する」・・・という手順です。

解決! あおり旋回ステージで1度に全方向の確認が可能になりました。

あおり旋回ステージの導入で、手前-奥、左-右の全方向を一度に検査可能に!

これまで2回に分けて確認していましたが、あおり治具をあおり旋回ステージに変えることで、1回の装着で全て確認できるようになりました。

ワークを取り外して再度装着する手間が省けるので、作業時間が短縮できました。

また、以前のあおり治具と比較して、よりコンパクトなあおり旋回ステージを導入したことで、工程内もスペースに余裕ができスッキリしました。

あおり旋回ステージ(RC-60)の特徴

  • 位置決め角度が自由自在に設定できます。
  • また、メイン可動部を球状にすることで、従来にはない広い作動範囲を実現しています。
  • アリ溝式ステージと組み合せれば、直進摺動にあおり旋回機能が付加され、あらゆる態勢の位置決めが可能です。
  • ステージ面 : 60mm × 60mm
  • 移動量 : 180°屈折 ・ 360°回転 旋回自在
  • 自重 : 0.5 kg
  • ステージ本体 : アルミ合金製
  • 表面処理 : 梨地黒アルマイト
応用ポイント:今ある課題の解消だけでなく、「さらに良い作業環境を作れないか?」と考えてみる

このケースの場合、傾斜ステージを交互に2台重ねれば、同様の確認ができる治具になりますが、あおり旋回ステージであれば、これを1台で対応することができます。また、2台重ねではできない角度にも対応可能でき、大変便利です。

こうした各種ステージの特徴やメリット理解した上で、今あるお困りごとの解消だけでなく、「今までできなかった動作も実現できないか?」なとど、少し欲張って考えてみることで、より良い作業環境を構築しやすくなると思います。

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