「XYステージ」カテゴリーの記事一覧
3軸(XYZ)ステージを使用したLED発熱検査治具の改善
電子部品メーカーの検査工程で使用しているLED発熱検査治具の改善事例です。
課題: サーモグラフィの位置決め作業がとても面倒で、時間がかかります。
サーモグラフィを使用してLEDの発熱を検査しています。温度の計測に当たり、まずマグネットスタンドに装着されたサーモグラフィをワーク(LED基板)の真上に位置決めしなければなりません。
まず片手でサーモグラフィを支え、もう片方の手でつまみを緩めて位置を決めます。その後、つまみを少しずつゆっくり締め、位置の設定を完了します。つまみをゆっくり締めるのは、設定した位置がズレないようにするためです。両手で慎重に作業しなければならないのでとても面倒で、時間がかかっています。
解決! 3軸ステージを使うことで、短時間で位置決め出来るようになりました。
XY軸ステージに、サーモグラフィを装着したZ軸ステージを組み合わせました。
サーモグラフィは、LED基板に対して常に垂直なので、あとはXY軸の位置決めステージとZ軸の高さ決めステージで、位置と高さを合わせるだけです。
マグネットスタンドでは両手を使って位置決めしますが、XYZ軸ステージでは各ステージのハンドルを片手で操作して位置決めすることができるので、とても簡単に、手早く設定できます。位置が決まったら、各ステージにあるストッパーを回して設定位置を固定します。これで位置がズレる心配もありません。
XY軸ステージ(XYJK-60)及びZ軸ステージ(ZJK-90)の特徴
- 熟練の技によるアリ溝の 摺り合わせ技術で高品質・低価格を実現しました。滑らかな摺動と高耐久性が特徴です。
- クランプレバーの採用により固定保持力もアップし、レバーの位置方向セットも自在です。
- 送り方式 : ラック&ピニオン式
- ハンドル一回転の移動量 : 18 mm
- 移動精度(真直度) : 0.03 mm (※応用のポイント参照)
- ステージ本体:アルミ合金製(スケルトンステージ除く、XYステージ 他 全ステージ共通)
- 表面処理 : 梨地黒アルマイト
応用のポイント:ステージの移動精度(真直度)とは
真直度とは、ステージをフルストローク移動させた時、始点と終点を結ぶ直線に対して、垂直方向、水平方向に、それぞれどれだけ蛇行しているかを表す数値です。ステージの選定にあたっては、「どれだけの移動精度が必要か?」をあらかじめ確認しておきましょう。
真直度の計測方法は次の通りです。
ストローク端から一方向に、一定間隔で順次位置決めを行います。それぞれの位置決め点における垂直方向、水平方向それぞれの変位長さ(上下、左右の蛇行の距離)と基準位置(ストローク端)との差を、位置決めを行った各位置の測定値とします。
始点と終点での測定点を結んだ幾何学的直線と、各位置決め位置での計測値との最大差が、そのステージの真直度となります。真直度には、垂直方向と水平方向があります。
XY/回転ステージ(複合ステージ)を使用した接着剤塗布治具の改善
玩具メーカーの組み立て工程で使用している接着剤塗布治具の改善事例です。
課題: 接着剤の塗布作業は効率が悪く生産台数が上がりません。
十字型のワークAの4か所の先端部分にワークBを接着する作業です。ワークAの先端部分4ヶ所の穴に、接着剤を塗布してから、ワークBを挿入します。
接着作業は、ワーク置台の目印線交点上にワークAの接着位置を合わせて塗布します。1ヶ所の塗布が終わると、ワークAの向きを90°変えて、再度接着位置を合わせて塗布します。
ひとつのワークAに対して、それを4回繰り返すので、とても効率が悪い状況です。
またワーク置台は、上面にある目印線の交点上に接着剤ディスペンサーの針が来るよう、あらかじめ位置決めしてあります。 接着剤ディスペンサーや、ワークAの大きさ及び形状が変わると、それに合わせてワーク置台の位置決めのやり直しが必要です。
ワーク置台は、4本のボルトで位置決め後に固定しますが、微小な位置修正には不向きです。 この組み立て工程では、接着剤塗布の作業とワーク置台の位置出しの、どちらも作業性が悪く困っています。
解決! XY/回転ステージ(複合ステージ)を使用し、接着剤塗布とワーク置台の位置決め作業を同時に効率化!
ワーク置台をXY/回転ステージに置き換えました。XY/回転ステージは、直交する直線ステージ(X軸とY軸)と回転ステージの複合ステージです。
接着剤塗布の作業は、まずワークAをステージ上面にセットします。次に、ディスペンサーの針の下部にワークAの塗布部が来るよう、ステージ面を回転させ接着剤を塗布します。 1ヶ所目の接着剤塗布後、回転つまみを90°ずつ 回して残りの3ヶ所を塗布します。
以前のように、1ヶ所ごとに面倒な位置合わせをする必要がありませんので、作業効率がアップし、生産台数も向上しました。また、接着剤ディスペンサーやワークの大きさ・形状が変わっても、XY軸のハンドル操作だけで塗布位置を変更できるため、簡単に対応できます。
塗布位置変更後には、ステージのストッパーを締めることで、決めたXY軸の位置をしっかりと固定できます。
薄型XY回転ステージ (XYR-90A) の特徴
従来品の組合せより30% 近く薄型(高さ50mm)でコンパクトな、一体型複合機能ステージです。
- ステージ面 : φ90mm
- 移動量 : (XY方向)±35mm (回転方向) 360°
- 自重 : 0.88 kg
- ハンドル一回転の移動量 : 4.2mm
- 耐荷重 : 34.3N (3.5kgf)
- ステージ本体:アルミ合金製(スケルトンステージ除く、XYステージ 他 全ステージ共通)
- 表面処理 : 梨地黒アルマイト
応用のポイント:XY/回転ステージ(複合ステージ)の応用例 「コンパクトな顕微鏡システム」
このXY/回転の複合ステージは、工夫次第で、いろいろな用途のコンパクトな作業治具を作成することができます。
例えば、回転ステージ面にステージ板を設置し、顕微鏡と組み合わせれば、非常にコンパクトな顕微鏡システムができ上がります。
ステージ板は、表面と裏面が白と黒に色分けされており、通常は白面側(色のついた物が見やすい)を使用します。黒面側は、白っぽい物や透明な物を観察する時に使用します。
試料の色などの特徴に応じて使い分けると、観察しやすくなります。
ステージ板の仕様
- 素材: アクリル樹脂
- 寸法: 直径 80mm、厚さ 6mm (白 3mm + 黒 3mm 貼り合せ)
多機能送りねじ式ステージを活用した絞り高さ検査治具
プレスメーカーにおける絞り工程後の高さ検査治具の改善事例です。
課題: レーザーセンサの高さ設定に手間がかかり、困っています。
絞り加工(プレス)した製品の高さをレーザーセンサで検査しています。検査する製品が変わるたびに、レーザーセンサが装着された高さ調整治具の高さを変える設定が必要です。
この治具の高さ設定は、まず2本のボルトを緩め、レーザーセンサが固定されたプレートを上げ下げして高さを決定し、最後に2本のボルトを締めて完了します。
2本のボルトは、「交互に、少しずつ」締めなければなりません。ボルトを締めている最中に、設定した高さが変わってしまうことを防ぐためです。
交互に少しずつ締める、その加減を間違ったりすると、決めた高さがすぐにズレてしまい、再度、高さの設定からやり直しになります。非常に作業性が悪く、手間がかかっています。
解決! 送りねじ式ステージで、簡単に素早く、正確な高さ設定ができます。
多機能送りねじ式ステージを採用しました。レーザーセンサの高さが、簡単に素早く、正確に設定できるようになりました。
送りねじ式ステージのハンドルを回して高さを調整し、位置が決まったらストッパーでロックするだけです。高さを固定するボルトを緩めたり締めたりする作業は必要なくなりました。
検査する製品が変わっても、すぐにレーザーセンサの高さを調整して対応できるため、以前のボルトで固定するやり方の時と比べて、治具の切り替え作業にかかっていた生産工程の時間的ロスを、大幅に低減することができました。
また、高さ調整治具の高さ設定範囲が6mmだったのに対し、送りねじ式ステージでは34mmもあるため、数種類あった高さ調整治具が、送りねじ式ステージだけで賄(まかな)えるようになりました。
多機能送りねじ式ステージ (ZTSC-70) の特徴
- ハンドル一回転の移動量を 2mm もしくは 5mm から用途に合わせて選択できます。
- ステージ面 : 25mm × 40mm
- 移動量 : ±17mm
- 自重 : 0.12 kg
- 他にも、全長 90mm / 120mm / 150mm(ハンドル部除く)のラインナップがあります。
- ステージ本体:アルミ合金製(スケルトンステージ除く、XYステージ 他 全ステージ共通)
- 表面処理 : 梨地黒アルマイト
応用のポイント:ハンドル一回転の移動量が長くすれば、回す回数を少なくできます。
長い距離を移動させる、また、その繰り返しが必要なとき、ハンドル一回転の移動量が小さいステージだと、何回転も何十回転もハンドルを回さなければなりません。高さなどの位置の調整は何度も繰り返す作業ですので、これだと少し大変ですよね?
逆に、ハンドル一回転で移動する距離を長くできれば、回す回数は少なくて済みます。それには、ハンドルの駆動部分が「多条ネジ」になっているタイプのステージがおススメです。
一般的なネジ(一条ネジ)は、1ピッチの間に1条の螺旋があります。他に、1ピッチの間に2条・3条と複数の螺旋があるネジもあり、これらを多条ネジと言います。多条ネジの場合、一回転で進む距離はネジピッチの条数倍になります。ちなみに、多条ネジは食品や調味料、日用雑貨等のネジキャップ付きのボトルなどに多く使われています。