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真空ピンセットを使用したミラー組込み作業の歩留まり改善

2013年10月17日

玩具メーカーの組み立て工程における、ミラー取付け作業の改善事例です。

課題: ピンセットでミラーをつかみ損ない、欠けさせてしまうミスが頻発!

ピンセットによる作業。つかみ損ねによるワークの破損が問題だった。玩具部品の組み立て工程で、ピンセットでワークA(ミラー)の外周をつかんで、ワークBの所定位置に取付ける作業を行っています。

使用するピンセットの先端は、ミラーをつかみ易いように工夫して加工してはあるものの、それでもつかみ損ないが、かなり頻繁に発生してしまいます。
つかみ損なうとミラーのエッジが欠けしまい、部品として使用できなくなり、ロスになってしまいます。

ピンセットのつかみ損ねで欠けてしまったミラーの、エッジ部分の欠けが大きければ発見しやすく、ワークBへの取付け前に気付いて交換できます。
しかし小さな欠けだと、作業者が注意はしていても見落としてしまうことが多く、欠けのあるミラーをそのまま取付けてしまい、後の検査工程で不良品として発見されることもしばしばです。

このピンセットでワークを破損してしまうロスに加えて、さらにミラーのエッジの破片が落下することによる品質問題も発生しており、早急な改善が必要でした。

解決! 真空ピンセットの採用で、ミラーの欠けがなくなりました。

真空ピンセットを採用、ワークの鏡面をやさしく吸着でき、破損によるロスがゼロに!

ピンセットをエアーで吸着する真空ピンセットに変更しました。先端のアタッチメントには、表面積の大きいワークの吸着に便利なヘラ型を採用しました。

ヘラ型の先端アタッチメントをミラーの鏡面に近づけるだけでミラーをやさしく吸着・ハンドリングできるので、エッジの欠けを心配することなく作業できます。

後はワークBの取付け位置の上部でシャッターボタンを押してミラーをそっとリリースするだけです。
ミラーは自重落下で、ワークBの所定の位置に、正確に取付けることができます。 「ピンセットで挟む」という動作そのものがなくなったため、ミラーつかみ損ないによる破損と交換ロスが無くなりました。

また、欠けたミラーの破片が落下することも無くなったため、製品の品質も安定し、歩留まりが向上しました。

真空ピンセット「エアーピット」(N/O タイプ)の特徴

  • 簡単・快適なペン先操作、ワークを指で触れることなくキャッチ&リリースができます。
  • ワークは、シャッターボタンを押さない状態で吸着、押すと落下します(吸着と落下が逆仕様のPタイプもあります)。
  • 先端部の屈折角度は、0°~40°と40°~90°の2種類があり、お好みのタイプを選択できます。
  • 先端のアタッチメントは4種類(標準・注射針型・導電性ゴムパット型・ヘラ型)で、用途に応じてご使用下さい。
応用のポイント:クリーンでコンパクトな真空ポンプ(DAP-12)がお勧めです。

ミラック光学製の真空ピンセット「エアーピット」は、吸着用のポンプとして、工場内既設の配管エアーや、市販の真空ポンプでもご使用いただけます。
お客様がそのような設備を既存でお持ちでない場合は、弊社では、ゴムの薄膜の往復運動を利用したダイヤフラム式真空ポンプ「DAP-12」をお勧めしております。

真空ポンプ「DAP-12」は、油を使用しないため、排気もクリーンでメンテナンスも簡単です。また、持ち運びにも便利なコンパクトサイズでありながら、配管ジョイント(JT-5)を接続することで、真空ポンプ1台で真空ピンセット「エアーピット」5本の同時利用が可能です。

真空ポンプ(DAP-12)仕様抜粋

  • 最大寸法:93 (W) × 163 (L) × 100.6 (H)
  • 質量:1.9 kg
  • 実行排気速度:12 L/min (50Hz) ,14 L/min (60Hz)
  • 到達圧力:24.0×103 Pa
  • 使用電動機:単相・100V・10W・4pコンデンサ運転
  • 全負荷電流:0.5 A

3軸(XYZ)ステージを使用したLED発熱検査治具の改善

2013年08月30日

電子部品メーカーの検査工程で使用しているLED発熱検査治具の改善事例です。

課題: サーモグラフィの位置決め作業がとても面倒で、時間がかかります。

サーモグラフィーの位置決め。両手を使って慎重に作業する必要があり、時間がかかった。

サーモグラフィを使用してLEDの発熱を検査しています。温度の計測に当たり、まずマグネットスタンドに装着されたサーモグラフィをワーク(LED基板)の真上に位置決めしなければなりません。

まず片手でサーモグラフィを支え、もう片方の手でつまみを緩めて位置を決めます。その後、つまみを少しずつゆっくり締め、位置の設定を完了します。つまみをゆっくり締めるのは、設定した位置がズレないようにするためです。両手で慎重に作業しなければならないのでとても面倒で、時間がかかっています。

解決! 3軸ステージを使うことで、短時間で位置決め出来るようになりました。

XY軸ステージとZ軸ステージを組み合わせた位置決めステージに。片手でのハンドル操作で、簡単に正確な位置決めが可能に!

XY軸ステージに、サーモグラフィを装着したZ軸ステージを組み合わせました。

サーモグラフィは、LED基板に対して常に垂直なので、あとはXY軸の位置決めステージとZ軸の高さ決めステージで、位置と高さを合わせるだけです。

マグネットスタンドでは両手を使って位置決めしますが、XYZ軸ステージでは各ステージのハンドルを片手で操作して位置決めすることができるので、とても簡単に、手早く設定できます。位置が決まったら、各ステージにあるストッパーを回して設定位置を固定します。これで位置がズレる心配もありません。

XY軸ステージ(XYJK-60)及びZ軸ステージ(ZJK-90)の特徴

  • 熟練の技によるアリ溝の 摺り合わせ技術で高品質・低価格を実現しました。滑らかな摺動と高耐久性が特徴です。
  • クランプレバーの採用により固定保持力もアップし、レバーの位置方向セットも自在です。
  • 送り方式 : ラック&ピニオン式
  • ハンドル一回転の移動量 : 18 mm
  • 移動精度(真直度) : 0.03 mm (※応用のポイント参照)
  • ステージ本体:アルミ合金製(スケルトンステージ除く、XYステージ 他 全ステージ共通)
  • 表面処理 : 梨地黒アルマイト
応用のポイント:ステージの移動精度(真直度)とは

真直度とは、ステージをフルストローク移動させた時、始点と終点を結ぶ直線に対して、垂直方向、水平方向に、それぞれどれだけ蛇行しているかを表す数値です。ステージの選定にあたっては、「どれだけの移動精度が必要か?」をあらかじめ確認しておきましょう。

真直度の計測方法は次の通りです。
ストローク端から一方向に、一定間隔で順次位置決めを行います。それぞれの位置決め点における垂直方向、水平方向それぞれの変位長さ(上下、左右の蛇行の距離)と基準位置(ストローク端)との差を、位置決めを行った各位置の測定値とします。
始点と終点での測定点を結んだ幾何学的直線と、各位置決め位置での計測値との最大差が、そのステージの真直度となります。真直度には、垂直方向と水平方向があります。

 

テレセントリックレンズを使用した穴径寸法測定治具の改善

2013年08月21日

金属加工メーカーにおける、検査工程での穴径寸法測定治具の改善事例です。

課題: ワークの穴径を測定していますが、測定値がバラついて困っています。

顕微鏡を使用した穴の内径測定治具。測定値がバラつき、作業性も悪い。

加工後のワークの穴径を顕微鏡とXYステージを使って測定しています。顕微鏡(対物レンズ)の真下にワーク(穴中心)が来るように、ワーク下部のXYステージで正確に位置を決めなければなりません。顕微鏡を覗きながらの作業なので時間がかかり、作業が長時間に及ぶと目も疲れます。

また、ワークの位置決めがうまくいっても、穴の壁面(穴の内側の側壁)が見えてしまい、測定の邪魔になります。測定ポイントが捉えづらく、測定値のバラつきが発生してしまいます。正しい測定値が得られない場合、再度ワークの位置決めからやり直して再測定しています。

この治具の課題は、ワークの中心の位置決めの難しさと計測に適さない穴の見え方で、これらは作業者の習熟や努力では解決できない問題でした。

解決! テレセントリックレンズの採用で、作業性と測定精度が向上しました。

テレセントリックレンズの採用で、作業性・測定精度がともに向上!

対物レンズを使用する顕微鏡に替えて、テレセントリックレンズとUSBカメラの組合せに変更しました。

テレセントリックレンズは、一般的な球面のレンズとは異なり、被写体からの光が光軸に対して平行に通過して像を結ぶレンズです(光軸と主光線が平行、画角が0°)。そのため、被写体とレンズとの距離が変わっても映像の大きさが変わったり、歪みが生じたりしないという特徴があります。

まず、ワークの位置決めは従来通りXYステージで行いますが、テレセントリックレンズを使用することで、以前のような慎重な位置決め作業が不要になりました。穴の中心をレンズの真下に正確に合わせなくとも像が歪まないため、作業性が大きく改善されました。

また、テレセントリックレンズなら、遠近による像の歪みも生じないため、穴の内側の壁面が見えてしまうことがなくなります。測定ポイントが捉えやすくなり、その結果、測定値のバラつきの問題も解消され、やり直しの再測定もほぼなくすことができました。

テレセントリックレンズ(MRC2-40)の特徴

高精度の位置決めや寸法測定に最適で、高解像度・低ディストーションを実現した画像認識用レンズです。
コンパクト&リーズナブルな設計により、装置やその他周辺部品の設計もコンパクトにできます。

  • 光学倍率 : 2倍
  • 有効F値 : 14.2
  • TVディストーション : -0.001%
  • 作動距離(ワーキングディスタンス=被写体と光学系の距離): 40.2mm
  • マウント : Cマウント
  • 質量 : 27g
応用のポイント:テレセントリックレンズの特長

テレセントリックレンズは、主光線がレンズ光軸に対して平行な特殊レンズです(下図参照)。ピント調節の際にワークが上下しても像の大きさ(倍率)に変化がなく、ワーク面全体を真正面から観察できるのが特長です。従って、高精度の位置決め・寸法測定・外観検査に最適です。

テレセントリックレンズとは

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