Z軸ステージを搭載したUV接着治具
レンズメーカーの組立工程で使用しているUV接着治具の改善事例です。
課題: UV接着器のヘッド高さ設定の作業性が悪く改善が必要でした。
カメラモジュールの筐体と基板をUV接着しています。生産するカメラモジュールの機種が変わるたびに、UV接着器のヘッド高さと位置の変更が必要です。
このカメラモジュールの場合は、接着部とヘッドの距離が15mmになるように設定しています。ヘッド高さの変更は、ボルトを緩めてヘッドを取付けたベースを長穴に沿ってスライドさせて位置決めした後、再度ボルトを締め直して固定します。
UV照射によるカメラモジュールの筐体と基板の接着は、前後左右、4方向から行う必要があり、UV接着器4セット分のヘッドの高さ変更が必要です(上記の図は、1方向のみを抜粋)。すべてボルトを緩めたり締めたりしなければならず、とても面倒な作業です。
解決! Z軸ステージの採用で、高さ設定が簡単・確実・スピーディーに!
ボルトを緩めてベースを手でスライドさせる作業、位置決めしてからボルトを締め直す作業が不要になり、大幅な変更作業の時間短縮になりました。ヘッド高さ変更後は、標準装備のストッパーを締めることで、ずれることなく高さをしっかりと維持できます。
接着部とヘッドの距離の微細な調整(15mmに設定)も、スムーズなハンドル操作で簡単に、確実に行うことができるようになり、作業スピードのみでなく作業精度も向上しました。
Z軸ステージ(ZTSC-120)の特徴
- 長いストロークを規則的なピッチでなめらかに摺動します。
- 狭い空間でも操作しやすく、微細な調整が簡単に行えます。
- ハンドル1回転の移動量を 2mm・5mm・10mm の中から選択できます。
- ステージ面 : 25mm×40mm
- 移動量 : ±42mm
- 自重 : 0.2 kg
- ステージ本体:アルミ合金製(スケルトンステージ除く、XYステージ 他 全ステージ共通)
- 表面処理 : 梨地黒アルマイト
応用ポイント:XYステージや回転系ステージとの組み合わせでさらに便利に!
今回の事例では、XYステージでUV接着器のヘッド位置を、傾斜ステージや回転ステージでヘッドの傾きを調整できるようにすれば、最適な照射距離を設定する作業性がさらに向上するでしょう。
「XYステージと回転系ステージを組み合わせる」という選択肢を持つことで、ワークや作業内容に合った、より作業効率や確度の高い環境作りができると思います。
Z軸ステージを活用した部品重なり検査治具
プレスメーカーの搬送工程で使用している検査治具の改善事例です。
課題 :センサーの高さ設定作業が非効率的で時間がかかります。
ワークが1枚ずつ搬送されているか検査しています。
ワークの厚みが変わるたびに、センサーの高さ設定が必要ですが、ボルト4本で固定されているため高さ設定変更作業に時間がかかります。特に、センサーの下側にあるボルト2本は、センサー本体に近く回しづらい状況です。
さらに、ボルトを締めることで設定高さがずれてしまい、やり直しをしなければならない事があります。
解決! Z軸ステージで効率よく、短時間で作業できます。
ステージのハンドルを回してセンサーの高さを調整し、クランプレバーでロックするだけで作業完了です。従来のボルトで固定する方法より短時間で作業でき、かつ微小な高さの変更も可能になりました。
また、ハンドルと反対側にある予圧調整ネジを回せば、摺動調整(ハンドルを回した時の重さ調整)ができます。ハンドル横の目盛板を活用することで、さらに正確に、効率的に作業できるようになりました。
Z軸ステージ(ZJK-90)の特徴
- 熟練の技によるアリ溝の摺り合わせ技術で滑らかな摺動と高品質 ・ 低価格を実現しました。
- ステージ面 : 40mm × 90mm
- 移動量 : ±35mm
- 自重 : 0.45 kg
- ステージ本体:アルミ合金製(スケルトンステージ除く、XYステージ 他 全ステージ共通)
- 表面処理 : 梨地黒アルマイト
- 付属ネジ:M4×12 座金付き六角穴付きボルト 2本( 構造用合金鋼製 黒色酸化鉄被膜 )
応用ポイント:X軸ステージと組み合わせ、測定範囲を微調整
センサー類をご使用の場合、X軸ステージを追加し組み合わせることで測定範囲(ワークとの距離)を微調整することができます。微小な距離の位置移動には各種ステージの利用が有効です。
あおり旋回ステージを使った移動動作確認治具
玩具の製造メーカーで使用している動作確認治具の改善事例です。
課題 :検査中にワークの向きを変えなければならず、作業性が悪く困っています。
赤の部品が、緑の部品の十字溝をスムーズに移動するか検査しています。
現状のあおり治具では、1方向(手前と奥)にしか動かせないため、1回の装着では全ての確認ができず、非常に作業性が悪く困っています。
具体的には、「まず最初の1方向の確認し、その後、緑の部品を治具から一旦外して、90°向きを変え治具に再装着し、残りの方向を検査する」・・・という手順です。
解決! あおり旋回ステージで1度に全方向の確認が可能になりました。
これまで2回に分けて確認していましたが、あおり治具をあおり旋回ステージに変えることで、1回の装着で全て確認できるようになりました。
ワークを取り外して再度装着する手間が省けるので、作業時間が短縮できました。
また、以前のあおり治具と比較して、よりコンパクトなあおり旋回ステージを導入したことで、工程内もスペースに余裕ができスッキリしました。
あおり旋回ステージ(RC-60)の特徴
- 位置決め角度が自由自在に設定できます。
- また、メイン可動部を球状にすることで、従来にはない広い作動範囲を実現しています。
- アリ溝式ステージと組み合せれば、直進摺動にあおり旋回機能が付加され、あらゆる態勢の位置決めが可能です。
- ステージ面 : 60mm × 60mm
- 移動量 : 180°屈折 ・ 360°回転 旋回自在
- 自重 : 0.5 kg
- ステージ本体 : アルミ合金製
- 表面処理 : 梨地黒アルマイト
応用ポイント:今ある課題の解消だけでなく、「さらに良い作業環境を作れないか?」と考えてみる
このケースの場合、傾斜ステージを交互に2台重ねれば、同様の確認ができる治具になりますが、あおり旋回ステージであれば、これを1台で対応することができます。また、2台重ねではできない角度にも対応可能でき、大変便利です。
こうした各種ステージの特徴やメリット理解した上で、今あるお困りごとの解消だけでなく、「今までできなかった動作も実現できないか?」なとど、少し欲張って考えてみることで、より良い作業環境を構築しやすくなると思います。