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"二軸(XY)ステージ" タグの付いた記事一覧

テレセントリックレンズを使用した穴径寸法測定治具の改善

2013年08月21日

金属加工メーカーにおける、検査工程での穴径寸法測定治具の改善事例です。

課題: ワークの穴径を測定していますが、測定値がバラついて困っています。

顕微鏡を使用した穴の内径測定治具。測定値がバラつき、作業性も悪い。

加工後のワークの穴径を顕微鏡とXYステージを使って測定しています。顕微鏡(対物レンズ)の真下にワーク(穴中心)が来るように、ワーク下部のXYステージで正確に位置を決めなければなりません。顕微鏡を覗きながらの作業なので時間がかかり、作業が長時間に及ぶと目も疲れます。

また、ワークの位置決めがうまくいっても、穴の壁面(穴の内側の側壁)が見えてしまい、測定の邪魔になります。測定ポイントが捉えづらく、測定値のバラつきが発生してしまいます。正しい測定値が得られない場合、再度ワークの位置決めからやり直して再測定しています。

この治具の課題は、ワークの中心の位置決めの難しさと計測に適さない穴の見え方で、これらは作業者の習熟や努力では解決できない問題でした。

解決! テレセントリックレンズの採用で、作業性と測定精度が向上しました。

テレセントリックレンズの採用で、作業性・測定精度がともに向上!

対物レンズを使用する顕微鏡に替えて、テレセントリックレンズとUSBカメラの組合せに変更しました。

テレセントリックレンズは、一般的な球面のレンズとは異なり、被写体からの光が光軸に対して平行に通過して像を結ぶレンズです(光軸と主光線が平行、画角が0°)。そのため、被写体とレンズとの距離が変わっても映像の大きさが変わったり、歪みが生じたりしないという特徴があります。

まず、ワークの位置決めは従来通りXYステージで行いますが、テレセントリックレンズを使用することで、以前のような慎重な位置決め作業が不要になりました。穴の中心をレンズの真下に正確に合わせなくとも像が歪まないため、作業性が大きく改善されました。

また、テレセントリックレンズなら、遠近による像の歪みも生じないため、穴の内側の壁面が見えてしまうことがなくなります。測定ポイントが捉えやすくなり、その結果、測定値のバラつきの問題も解消され、やり直しの再測定もほぼなくすことができました。

テレセントリックレンズ(MRC2-40)の特徴

高精度の位置決めや寸法測定に最適で、高解像度・低ディストーションを実現した画像認識用レンズです。
コンパクト&リーズナブルな設計により、装置やその他周辺部品の設計もコンパクトにできます。

  • 光学倍率 : 2倍
  • 有効F値 : 14.2
  • TVディストーション : -0.001%
  • 作動距離(ワーキングディスタンス=被写体と光学系の距離): 40.2mm
  • マウント : Cマウント
  • 質量 : 27g
応用のポイント:テレセントリックレンズの特長

テレセントリックレンズは、主光線がレンズ光軸に対して平行な特殊レンズです(下図参照)。ピント調節の際にワークが上下しても像の大きさ(倍率)に変化がなく、ワーク面全体を真正面から観察できるのが特長です。従って、高精度の位置決め・寸法測定・外観検査に最適です。

テレセントリックレンズとは

XY/回転ステージ(複合ステージ)を使用した接着剤塗布治具の改善

2013年06月24日

玩具メーカーの組み立て工程で使用している接着剤塗布治具の改善事例です。

課題: 接着剤の塗布作業は効率が悪く生産台数が上がりません。

ワーク2種の接着作業とワーク置台の位置決め、どちらも非効率でした。

十字型のワークAの4か所の先端部分にワークBを接着する作業です。ワークAの先端部分4ヶ所の穴に、接着剤を塗布してから、ワークBを挿入します。

接着作業は、ワーク置台の目印線交点上にワークAの接着位置を合わせて塗布します。1ヶ所の塗布が終わると、ワークAの向きを90°変えて、再度接着位置を合わせて塗布します。
ひとつのワークAに対して、それを4回繰り返すので、とても効率が悪い状況です。

またワーク置台は、上面にある目印線の交点上に接着剤ディスペンサーの針が来るよう、あらかじめ位置決めしてあります。 接着剤ディスペンサーや、ワークAの大きさ及び形状が変わると、それに合わせてワーク置台の位置決めのやり直しが必要です。

ワーク置台は、4本のボルトで位置決め後に固定しますが、微小な位置修正には不向きです。 この組み立て工程では、接着剤塗布の作業とワーク置台の位置出しの、どちらも作業性が悪く困っています。

解決! XY/回転ステージ(複合ステージ)を使用し、接着剤塗布とワーク置台の位置決め作業を同時に効率化!

XY/回転ステージ(複合ステージ)の採用で、接着作業、ワーク置台の位置決め作業を、同時に効率化!

ワーク置台をXY/回転ステージに置き換えました。XY/回転ステージは、直交する直線ステージ(X軸とY軸)と回転ステージの複合ステージです。

接着剤塗布の作業は、まずワークAをステージ上面にセットします。次に、ディスペンサーの針の下部にワークAの塗布部が来るよう、ステージ面を回転させ接着剤を塗布します。 1ヶ所目の接着剤塗布後、回転つまみを90°ずつ 回して残りの3ヶ所を塗布します。

以前のように、1ヶ所ごとに面倒な位置合わせをする必要がありませんので、作業効率がアップし、生産台数も向上しました。また、接着剤ディスペンサーやワークの大きさ・形状が変わっても、XY軸のハンドル操作だけで塗布位置を変更できるため、簡単に対応できます。

塗布位置変更後には、ステージのストッパーを締めることで、決めたXY軸の位置をしっかりと固定できます。

薄型XY回転ステージ (XYR-90A) の特徴

従来品の組合せより30% 近く薄型(高さ50mm)でコンパクトな、一体型複合機能ステージです。

  • ステージ面 : φ90mm
  • 移動量 : (XY方向)±35mm (回転方向) 360°
  • 自重 : 0.88 kg
  • ハンドル一回転の移動量 : 4.2mm
  • 耐荷重 : 34.3N (3.5kgf)
  • ステージ本体:アルミ合金製(スケルトンステージ除く、XYステージ 他 全ステージ共通)
  • 表面処理 : 梨地黒アルマイト
応用のポイント:XY/回転ステージ(複合ステージ)の応用例 「コンパクトな顕微鏡システム」

このXY/回転の複合ステージは、工夫次第で、いろいろな用途のコンパクトな作業治具を作成することができます。
例えば、回転ステージ面にステージ板を設置し、顕微鏡と組み合わせれば、非常にコンパクトな顕微鏡システムができ上がります。

XY/回転ステージ(複合ステージ)の応用例。使い勝手の良い顕微鏡システムを低コスト、省スペースで実現。

ステージ板は、表面と裏面が白と黒に色分けされており、通常は白面側(色のついた物が見やすい)を使用します。黒面側は、白っぽい物や透明な物を観察する時に使用します。
試料の色などの特徴に応じて使い分けると、観察しやすくなります。

ステージ板の仕様

  • 素材: アクリル樹脂
  • 寸法: 直径 80mm、厚さ 6mm (白 3mm + 黒 3mm 貼り合せ)

二軸(XY)ステージを活用した回転精度測定治具

2012年12月07日

電子部品メーカーのモーター回転精度測定工程での治具改善事例です。

課題:静電容量変位計の位置決めの作業性が悪く困っています。

ブラシレスモーターの回転精度を、静電容量変位計で計測しています。

まず、変位計を据付けたベースを固定している前後左右4本のボルトを緩め、ベースごと二軸方向にずらして位置を決めた後、再度ボルトを締め付けて固定しています。

変位計のヘッド部を、ブラシレスモーターに接触するわずか手前で固定する必要があるため、ボルトの締め付け時は特に慎重な作業が必要です。

慎重に作業しても締め付け時に位置がずれてしまい、モーターにヘッド部が接触してしまうこともあります。

解決! 二軸ステージを使えば、静電容量変位計の位置を容易に微調整できます。

X・Yそれぞれのステージのハンドルを回して、静電容量変位計のヘッド位置を決め、ハンドルの反対側にあるクランプレバーで固定します。

微小な位置の移動を片手で簡単に行えるようになりました。

二軸ステージ(XYJK-60)の特徴

  • アリ溝の摺り合わせ技術で、滑らか摺動 ・ 高品質 ・ 高耐久性 ・ 低価格を実現しました。
  • 創業以来の伝統の予圧調整機能(予圧調整用ねじ)が装備され、摺動感覚を微調整することが可能です。
  • ステージ面 40mm×60mm
  • 移動量 ±21mm
  • 自重 0.51kg
  • ステージ本体:アルミ合金製(スケルトンステージ除く、XYステージ 他 全ステージ共通)
  • 表面処理 : 梨地黒アルマイト
応用ポイント:強化クランプレバーはアレンジできます

強化クランプレバーは、市販の六角穴付きボルトを応用しているため、ネジ足の長さを変更したり、レバーが干渉しないように締付け位置を変更したりといったアレンジが可能です。

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